• このエントリーをはてなブックマークに追加

精神障害の労災認定の3つの要件

精神障害の労災認定は次にいずれも満たすことが必要です。精神障害の認定基準は平成23年12月に改正されています。

    労災認定のための要件
  1. 認定基準の対象となる精神障害を発病していること
  2. 認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること
  3. 業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと
  • 「業務による強い心理的負荷が認められる」とは業務による具体的な出来事がありその出来事とその後の状況が労働者に強い心理的負荷を与えたことをいいます。
  • 心理的負荷の強度は、精神障害を発病した労働者がその出来事とその後の状況を主観的にどう受け止めたかではなく、同種の労働者が一般的にどう受け止めるかという観点から評価します。「同種の労働者」とは職種、職場における立場や職責、年齢、経験などが類似する人をいいます。

認定基準の対象となる精神障害かどうか

認定基準の対象となる精神障害は、国際疾病分類第10回修正版(ICD-10)第5章「精神および行動の障害」に分類される精神障害であって認知症や頭部外傷などに、よる障害(F0)およびアルコールや薬物による障害(F1)は除きます。業務に関連して発病する可能性のある精神障害の代表的なものは、うつ病(F3)や急性ストレス反応(F4)などです。

(ICD-10)第5章「精神および行動の障害」
分類コード 疾病の種類
F0 症状性を含む器質性精神障害
F1 精神作用物質使用による精神および行動の障害
F2 統合失調症、統合失調症型障害および妄想性障害
F3 気分[感情]障害
F4 神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害
F5 生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群
F6 成人のパーソナリティおよび行動の障害
F7 精神遅滞〔知的障害〕
F8 心理的発達の障害
F9 小児期および青年期に通常発症する行動および情緒の障害、特定不能の精神障害

重要:この「ICD-10診断ガイドライン」に該当しなければ精神障害を発病していたとは認められません。受診をしていない場合や過労自殺した方に医師の診断歴がなく、死後精神障害の発病を証明しなければならない場合は発病の有無の判断が困難になります。万が一の時のために早期に受診をしておくことは非常に重要です。

業務による強い心理的負荷が認められるかどうか

労働基準監督署の調査に基づき、発病前おおむね6か月の間に起きた業務による出来事について、「業務による心理的負荷評価表」により「強」と評価される場合、認定要件の「業務による強い心理的負荷」を満たします。新しい認定基準では、出来事と出来事後を一連のものとして総合評価を行います。具体的な評価手順は、次のとおりです。

(1)「特別な出来事」に該当する出来事がある場合
「特別な出来事」に該当する出来事が認められた場合には、心理的負荷の総合評価を「強」とします。

(2)「特別な出来事」に該当する出来事がない場合
以下の手順により心理的負荷の強度を「強」「中」「弱」と評価します。

①具体的出来事への当てはめ
業務による出来事が、「業務による心理的負荷評価表」の「具体的出来事」のどれに当てはまるか、あるいは近いかを判断します。

②出来事ごとの心理的負荷の総合評価
当てはめた「具体的出来事」の欄に示されている具体例の内容に、事実関係が合致する場合にはその強度で評価します。事実関係が具体例に合致しない場合には、「心理的負荷の総合評価の視点」の欄に示す事項を考慮し、個々の事案ごとに評価します。

③出来事が複数ある場合の全体評価
ア.複数の出来事が関連して生じた場合には、その全体を一つの出来事として評価します。原則として最初の出来事を具体的出来事として『心理的負荷による精神障害の認定基準』に当てはめ関連して生じたそれぞれの出来事は出来事後の状況とみなし、全体の評価をします。
イ.関連しない出来事が複数生じた場合には、出来事の数、それぞれの出来事の内容、時間的な近接の程度を考慮して全体の評価をします。

強 + 中 または 弱 ⇒強
中 + 中が複数    ⇒強 または 中
中 + 弱       ⇒中
弱 + 弱       ⇒弱

長時間労働がある場合の評価方法

長時間労働に従事することも精神障害発病の原因となり得ることから、長時間労働を次の3通りの視点から評価します。

(1)特別な出来事としての極度の長時間労働
発病直前の極めて長い労働時間を評価します。

【「強」になる例】

  • 発病直前の1か月におおむね160時間以上の時間外労働を行った場合
  • 発病直前の3週間におおむね120時間以上の時間外労働を行った場合

(2)出来事としての長時間労働
発病前の1か月から3か月間の長時間労働を出来事として評価します。

【「強」になる例】

  • 発病直前の2か月間連続して1月当たりおおむね120時間以上の時間外労働を行った場合
  • 発病直前の3か月間連続して1月当たりおおむね100時間以上の時間外労働を行った場合

(3)他の出来事と関連した長時間労働
出来事が発生した前や後に恒常的な長時間労働(月100時間程度の時間外労働)があった場合、心理的負荷の強度を修正する要素として評価します。

【「強」になる例】

  • 転勤して新たな業務に従事し、その後月100時間程度の時間外労働を行った場合

上記(1)から(3)の時間外労働時間数は目安であり、この基準に至らない場合でも、心理的負荷を「強」と判断することがあります。

業務以外の心理的負荷及び個体側要因の判断

(1)業務以外の心理的負荷による発病か
業務以外の心理的負荷の強度については、対象疾病の発病前おおむね6か月の間に、対象疾病の発病に関与したと考えられる業務以外の出来事の有無を確認し、出来事が一つ以上確認できた場合は、それらの出来事の心理的負荷の強度について「業務以外の心理的負荷評価表」を指標として、心理的負荷の強度を「Ⅲ」、「Ⅱ」又は「Ⅰ」に区分する。「Ⅲ」に該当する業務以外の出来事のうち心理的負荷が特に強いものがある場合や、「Ⅲ」に該当する業務以外の出来事が複数ある場合等については、それらの内容等を詳細に調査の上、それが発病の原因であると判断することの医学的な妥当性を慎重に検討して、判断される。

(2)個体側要因の評価
精神障害を過去に発症していた場合やアルコール依存状況などの本人の個体側要因の存在が確認できた場合には、それが発病の原因であるといえるか、慎重に判断されます。

精神障害の労災認定のフローチャート

精神障害の労災認定のフローチャート

厚生労働省 精神障害等の労災認定について

http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken04/090316.html


お気軽にお問い合わせください。050-3639-6094平日10:00~19:00(夜間・土日要予約)

メールでお問い合わせはこちら